Q 子どもの親権を争った場合、やはり母親が有利ですか?

A 母親は有利ではあります。

  ただ、「母親である」という要素以上に重要視される要素もあります。

 

 離婚する際に、未成年の子供がいる場合には、親権者を指定する必要があります。私がこれまでの経験を踏まえた感覚からすると、離婚案件で、一番もめるのは、親権者をどちらにするかという点ではないかと思われます。

 一般的には、親権者を決める際には、母親が有利だとよく言われています。確かに、子どもが小さい場合などは母親が有利である場合も多いです。ただ、親権者を誰にするのかは、誰が親権者になるのが、その子にとって良いのか、という観点から判断されるものであり、その子を取り巻く様々な要素を検討して決められます。

 その判断要素の中には、「母親である」ということ以上に重視される要素もあります。

 その一つが、「現在、誰がその子を監護しているのか」ということが挙げられます。当然ですが、子どもも一人の人間であり、自分の生活があります。例えば、幼稚園や小学校、中学、高校などに通っており、周りにも友達もいたりします。子どもが、今の生活になじんでいる場合に、親が離婚するということで、引越しをしたり、学校を転校したりすることは、子どもにとって負担の大きいことです。

 そのため、親権者を指定する際には、「子どもの現在の生活を尊重する」という要素が重視されます。子どもの現在の生活を尊重する、ということは、要するに、「その子が今現在、誰の監護のもの、誰と生活しているのか」ということです。

 この「現在、誰がその子を監護しているのか」という判断要素は、「母親である」という判断要素よりも重視されることが多いです。仮に、父親と母親とが別居していて、子どもが父親と一緒に生活している場合、その父親が相応に子どもの監護をこなしているのであれば、あえて、その現状を壊してまで、母親を親権者にする必要はない、という判断がされる可能性が高いということです。

 もちろん、ほかの要素もありますので、一緒に生活している者が必ず勝つというわけではないですが、「現在、誰がその子を監護しているのか」という要素の重要性は他の要素よりも大きいのではないかと思われます。

 その他にも、子どもがある程度の年齢になった場合は、子どもの意思も尊重されます。小学生になる前は、むしろ、子どもの意思はあまり重視されませんが、小学生の高学年になると、子どもの意思も重要な判断要素となってきます。

 

 最後に、少し法律的な話からそれますが、母親が親権者になる場合が多いのは以下のような事情があるからではないかと個人的には考えています。

 今の日本の社会は、昔ほどではないかも知れませんが、それでも、やはり男性は外で働き、女性は家で家事や育児をするという家庭が多いと思われます。この場合、女性側が離婚したいと考えた場合、夫が外で働いている間に、離婚の準備を進めて、子どもを連れて家を出る、夫が家に帰ったときには、妻子がいないという状況が作りやすいと言えます。

 母親は、子どもを連れて家を出て、実家に帰るなどして、夫と離れて子どもを育てます。そして、離婚の協議が長引けば長引くほど、子どもは母親との生活環境に馴染んでくるため、せっかく馴染んできた子どもの生活環境を壊さないために、親権者は母親にすべきだ、という流れになってしまうのです。

 逆に、男性側は、離婚したいと考えたとしても、仕事があるため、急に引越しするということもしにくいですし、妻の知らないうちに子どもを連れて出る、という状況が作りにくいと言えます。そのため、女性側のように、戦う前に親権を獲得しやすい状況を作っておくという準備がしにくいと言えるのです。

 以上のような理由があるため、結局、母親が親権を獲得するケースが多く、その結果、世間的に、「親権は母親が有利」という認識がより強くなっているのではないかと思われます。

 

▲このページのトップに戻る